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その26:ファーレイーストビル東側
地 鎮 の た め の 消 防 装 置
PH Studio
copyright:photo byS.Anzai
 柳健司さんの笠木の作品(25)を伝って階段を降りきったところ、ファーレイーストビルの東側に、白い石をつかって作られたほこらがあります。よく見ると、ほこらは、消防活動に使われる連結送水管カバーの役割をはたしていることがわかります。ほこらの屋根の一部分はガラスを使って透明に作られており、その中には青く着彩されたアクリルシートによる水を模した物体が封入してあります。
これは1984年に結成されたアーティスト集団・PHスタジオによる作品です。PHスタジオは、ファーレ立川において、水道・電気・ガスといったライフラインに注目し、それらを象徴した作品を作ろうとしました。しかし、ガスと電気については良い場所がなく、結果的には水をテーマにした作品だけが作られることになりました。
中国地方の山間部の農家の土蔵には、丸に「龍」の字を書いたマークがつけられており、それは土蔵を火事から守ってくれる「りゅう」の神様をあらわしたものなのだそうです。PHスタジオがほこらの上部に封入した水は、この「龍」マークを現代的に再解釈したものです。
夜になると、この写真のように水の部分にあかりがつき、ぼうっと光ります。なかなか幻想的です。
なお、このほこらは、PHスタジオが行ったアートプロジェクト「ホームレス・ホーム」で使われた家のオブジェに似ています。PHスタジオは白い家のオブジェをトラックに載せて旅をさせ、沼やゴミ捨て場などに置いて、風景を不思議にするとともに「家」の意味を問い直しました。ひょっとすると、ファーレ立川の作品は、この家が自分のうちに帰ってきた姿なのかも知れません。


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