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その45:ファーレ立川センタースクエア西側
地 磁 気 の 声
Marina Abramovic
copyright:photo byS.Anzai
 ファーレ立川センタースクエア西側入口の向かって左側は機械搬入口で、コンクリートの壁が立っています。この壁に、何かピンク色のものが取付けられています。何だろうか、と思って近づいてみると、それはピンク色の石(実は水晶の一種で、ローズコーツ(紅石英)と呼ばれるもの)で、表面は平らではなく、凹面状に削られています。
これは、旧ユーゴスラビアの芸術家、マリナ・アブラモヴィッチさんの作品「黒い龍―家族用」です。アブラモヴィッチさんの活動は絵画から始まりましたが、活動はそこから発展して場所や人間、そして自然のエネルギーを感じるパフォーマンス・アートに移っています。この作品も、ただ見るのではなく、エネルギーを感じるための仕掛けになっています。
参加者は、縦に並んだみっつの石に、頭、胸部(心臓)、性器を押しつけることを薦められます。表面が微妙に凹ませてあるのはそのための便宜であり、五つある石のセットでそれぞれ石の取付けてある高さが異なるのは、いろんな身長の人がいることへの配慮です(実際には、父・母・長男・長女・次女という5人家族が想定されています)。ブラジル産の水晶は地球の磁気と感応しあうと考えられ、水晶を通して地球のエネルギーが人体に送り込まれてきます。

  黒い龍
  家族用
  壁に向かいあい、バラ色の水晶の枕に体を押しつけ、じっと待つこと。
1994  
Marina Abramovic  


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