戻る
その108:コアシティ立川南東
ひ び き 合 う 世 界
copyright:photo byS.Anzai
 コアシティ立川の南東の角の歩道上に、石でできた車止めがあります。車止めの上部は斜めに切り落とされており、そこに鏡面仕上されたステンレスの銘板が貼られています。銘板には、見慣れぬ文字でなにやら言葉が刻まれています。
ここで、後を振り向いてみてください。コアシティ立川の建物に、日本語で「私は太陽を待つ」と書かれたステンレスの銘板が取付けられていることに気づくはずです。
このふたつの銘板は、カナダのレベッカ・ベルモアさんの作品です。ベルモアさんの先祖はフランス人なので、ベルモアさんはフランス系カナダ人としての教育を受けてきました。しかし、ベルモアさんのおじいさんとおばあさんにはカナダの先住民・オジブワ族アニシナベの人がいます。中でもおばあさんはカナダの近代化をかたくなにこばみ続け、アニシナベ語だけを話すため、カナダ人として教育を受け英語とフランス語を話すベルモアさんと言葉が通じません。ベルモアさんは、このような事態から、自分の民族的背景であるアニシナベの文化的要素を表現に取り入れたアート活動をはじめました。
ファーレ立川の作品は、夏至の日の正午になると車止めに取付けられた銘板が太陽光線を反射し、ビルに取付けられた銘板を照らすようになっています。車止めには、アニシナベの文字で「私は太陽を待つ」という言葉が書かれています。ふたつの世界が、夏至の日の太陽という自然現象を通してひびき合っています。この異なった世界がひびき合うというコンセプトは、ファーレ立川のアート計画全体とも共通しています。

〈一人の人間として、私たちは絶えず他者を理解しようと努力している。一つの考えについて個々人の間にはっきりした相互理解が生まれる時、それは輝ける瞬間だ〉。
これが作品のコンセプトである。
レベッカ・ベルモア 作者コメントより


TOKYO TAMA CITY
(株)ワード・イン 〒190-0022 東京都立川市錦町5丁目15番地8号 PHONE.042(528)2835 FAX.042(528)1507