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その68:パレスホテル立川西側換気塔 |
時 流 の ハ ー モ ニ ー |
S.Anzai |
パレスホテル立川の西側に灰色の塔があります。塔の上部には、電卓に使われているようなデジタル・インジケーターの大きなものが沢山(144個)ついています。
この塔、実は換気塔で、また宮島達男さんのアート作品でもあります。昼間のうちはただインジケーターが並んでいるだけに見えますが、夜になるとこのインジケーターが点灯します。それぞれのインジケーターは、固有のサイクル(0.1秒間〜1時間)で1〜9までの数を表示し、0に至ると一定時間消え、また1に戻る、ということを繰り返します。ばらばらの数字は、見覚えのある数に偶然一致したりしながらひらひらと変わっていきます。
作品には「Luna」というタイトルが付けられています。Lunaとは月のこと。思えば、「1ヶ月」という言葉などが示すように、月の満ち欠けは私達に時間を教えてくれるものでした。この作品はそれに倣ったものであり、「夜にしか点灯させない」という秘密も、月を見て時間を思うのは夜にこそふさわしいからだ、という主張から解けていきます。
宮島さんはギャラリーのような小規模な場所でも同様のコンセプトの作品を作っています。反面、東京・新宿の東京オペラシティ1階エントランスホールでは、数十メートルにわたる廊下の床面の随所にインジケーターを埋め込んだ大規模な作品も提供しています。 |
写真上:夜間点灯時
写真下:昼間の様子
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