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| その65：安田火災ビル北側、植栽内 |
| 都 市 の 部 分 的 巻 き 戻 し |
 S.Anzai |
ファーレ立川の北西端、安田火災ビル北側の植栽内に、奇妙な小屋があります。工事用フェンスと足場材で作られた小屋は、今なお「工事中」の面影をたたえています。
実は、この小屋は、建築資材を用いたインスタレーション作品を手掛けている川俣正さんのオブジェ作品です。現在は機能を外されていますが、かつてこの小屋はコアシティ立川と立川ビジネスセンタービルに挟まれた車道の脇にあり、地下給気孔・共同溝への入口・メーターボックスという三つの機能を与えられていました。しかし、車道の見通しが悪くなるという理由から、現在はこの場所に移設されています。
川俣さんは、この作品で、ともすれば移ろいゆく中で過去を捨て去りがちな「都市」というものの中で「記憶」を留めていこうとしているように思います。かつてはここも「工事中」だった―そのことのモニュメントとして、この作品は街の端でひっそりと、かつ謎を問いかけながら立ち続けています。 |
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